未来を見守る、小さな一歩

京都府立医科大学 小児科学教室拡大新生児スクリーニング検査

拡大新生児スクリーニング検査とは

通常の拡大新生児マススクリーニング検査の対象疾患(20疾患)に加え、新しい治療法の開発により早期治療が可能になった疾患を追加で検査するものです。
本学附属病院では、2024年1月15日から希望される方に対して、脊髄性筋萎縮症、重症免疫不全症、ポンペ病、ムコ多糖症を有料で追加検査いたします。検査が陽性になった方は、本学附属病院小児科で精査を行い、診断がつけば適切に治療を行います。

対象疾患について

重症複合免疫不全症

生まれつきの生体防御のシステム、いわゆる免疫の異常により、病原体から体を守ることができず、感染症を繰り返し1歳までに亡くなる病気です。命にも関わる疾患ですが、感染症にかかる前の新生児期に発見し、適切な管理の上で造血幹細胞移植などの治療を受ければ、9割以上、健康に生きられる可能性が高まります。

脊髄性筋萎縮症

脊髄前角細胞の変性によって進行性の筋力低下や筋肉の萎縮をきたす疾患です。乳児期発症の重症のタイプは、運動発達が進まなくなり、呼吸をする筋肉も弱くなるため人工呼吸器を使用しないと自分の力で呼吸することも難しくなります。拡大新生児スクリーニングで早期診断、早期治療を行うことで運動神経細胞の変性の進行を止めることが可能となり、通常のお子さんに近い運動機能を獲得できる可能性が出てきます。

ポンペ病

グリコーゲンという物質が筋肉など全身の臓器に異常蓄積する疾患です。最重症の「乳児型」では心肥大や筋力低下に起因する心不全、呼吸障害などを乳児期から発症し、人工呼吸器が必要なことや死に至ることもあります。これより軽い「遅発型」は幼児期以降に筋力低下、呼吸障害、歩行障害などの症状で発症し徐々に症状は進行します。乳児型のほうが遅発型よりも頻度は少ないですが、拡大スクリーニング検査で発見し直ちに治療を行えば、病気の進行を止めるか遅らせることが可能であると言われています。マススクリーニング検査では、直ちに治療する必要性が低い遅発型が発見される可能性もあります。

ムコ多糖症

全身の様々な臓器にムコ多糖という異常物質が蓄積し、特異顔貌、白内障、呼吸障害、心臓弁膜症、中耳炎、関節拘縮、骨変形、低身長などをきたす進行性の疾患です。早期に発見し酵素補充療法や造血幹細胞移植を行うことで症状の進行を抑制できることが知られています。拡大スクリーニング検査によって早期診断・早期治療を行うことが可能ですが、成人期以降に発見されるような軽症例が見つかる可能性もあります。

検査の性質上、本検査で異常が認められなかった場合も疾患を完全に否定することはできません。 一方、正常の方や直ちに治療の必要にないごく軽症の患者さんが検査では異常と判定される場合も有ります。

費用について

検査にかかる費用は以下の通りで、自費検査となります。
  院内出生の方:14,000円(当院で出生または、新生児搬送で当院に入院しているベビーが対象)
  院外出生の方:19,800円(他院で出生し、生後2か月までのベビーが対象)

検査の流れ

  • 当院で出生されたお子さんの場合

  • 当院以外で出生されたお子さんの場合(生後2か月までのベビーが対象)

  • 採血

    生後5~7日目に採血を実施します。
    通常の拡大新生児マススクリーニング検査に加えて 数滴の血液を採血します。

結果通知

  • 正常

    1か月健診時に結果を説明します。

  • 再検査

    再検査の結果が出た時点で、当院より結果をお知らせします。

    当院を受診

    検査結果を確かめるためにもう一度採血をして同じ検査を行います。

  • 精密検査

    要精密検査の結果が出た時点で、当院より結果をお知らせします。

    当院を受診

    詳しい検査を行い、本当に病気かどうかを調べます。
    (精密検査は通常の保険診療になります)

  • 採血

    生後2か月までに出生した医療機関よりご紹介をいただき当院を受診して下さい。

結果通知

  • 正常

    検査1か月後の予約外来で結果を説明します。

  • 再検査

    再検査の結果が出た時点で、当院より結果をお知らせします。

    当院を受診

    検査結果を確かめるためにもう一度採血をして同じ検査を行います。

  • 精密検査

    要精密検査の結果が出た時点で、当院より結果をお知らせします。

    当院を受診

    詳しい検査を行い、本当に病気かどうかを調べます。
    (精密検査は通常の保険診療になります)

他院で拡大新生児スクリーニング検査を受けられた方で、当院で精密検査を受けられる場合

スクリーニング検査を受けた医療機関の担当医から、病診連携を通じて当院の各疾患の専門医の外来予約をとっていただき、当院で精査を行います。(精密検査は通常の保険診療になります。)
詳しくは、スクリーニング検査を受けられた医療機関にお問い合わせください。

お問い合わせ

京都府立医科大学 小児科学教室

TEL.075-251-5111 (代表)

※個人的な疾患等にはお答えできませんので
予めご了承ください