性腺腫瘍(胚細胞腫瘍)

性腺腫瘍(胚細胞腫瘍)ってどんな病気?

男の子の性腺は精巣、女の子の性腺は卵巣です。そこから腫瘍が発生したものが性腺腫瘍と呼ばれます。性腺内の生殖細胞(精子や卵子になる前の未熟な細胞)から発生する腫瘍が胚細胞腫瘍であり、性腺腫瘍の多くが胚細胞腫瘍に分類されます。

男性の性腺腫瘍の好発年齢は20-30歳代に多く、女性の性腺腫瘍は10-20歳代に多いため、小児における性腺腫瘍は女性に多くみられます。悪性度は様々で、がんに分類されない成熟奇形腫から、未熟奇形腫、そして悪性胚細胞腫瘍と大別されます。悪性胚細胞腫瘍の中には、さらに胚細胞腫・胎児性がん・卵黄嚢腫瘍・絨毛がん・混合型まであり、様々な組織型があります。

どうやって見つかるの?

卵巣腫瘍が大きくなると、腹痛や腹部腫瘤(おなかを触ると何か触れる)で気づかれます。10%程度の症例は卵巣茎捻転(卵巣と子宮をつなぐ部分がねじれる)や腫瘍内での出血による激しい腹痛でみつかります。この場合は緊急手術が必要となります。

精巣腫瘍の場合、精巣に腫瘤を認め気づかれることが多いです(明らかに精巣のサイズに左右差がある)。

どうやって診断するの?

腫瘍の大きさや広がりを検索するために、超音波・CT・MRIなどによる画像検査を行います。奇形腫の場合は腫瘍内に石灰化や嚢胞性の病変を伴うことがあり、診断に有用です。悪性腫瘍が疑われる場合には、後腹膜リンパ節・肺・骨などの遠隔転移を検索するため、胸部レントゲン、CT、骨シンチなどの精査が必要となります。

上記の組織型を診断するためには、腫瘍の一部もしくは全部を取り出し病理検査をする必要があります。

卵黄嚢腫瘍や未熟奇形腫の一部では、血清中のAFP(αフェトプロテイン)が高値となり、診断に有用です。HCG(ヒト胎盤性ゴナドトロピン)は、胎盤の絨毛細胞から分泌される性腺刺激ホルモンで、絨毛上皮成分を含む絨毛がんで高値となります。まれに胎児性がんで高値を示すこともあります。通常、血清中や尿中のHCG及びβHCGが測定されます。

どうやって治療するの?

性腺腫瘍は外科的摘出の適応となります。1回の手術ですべての腫瘍が摘出できない場合は、抗がん剤による化学療法を行い、腫瘍を縮小させた後に切除が行われます。手術だけなのか?抗がん剤による化学療法も行うのか?上記のようにその悪性度が様々ですので、治療戦略はおのおのの症例によって異なります。放射線療法も治療の選択肢となりますが、将来的な合併症を考慮して推奨されておらず優先度は下がります。

こどもを作れなくなるの?

将来のあるこどもたちにとっては、性腺腫瘍を治すだけでなくこどもを作る能力(妊孕(にんよう)性といいます)を維持することは非常に大事な問題です。そのために、性腺腫瘍と診断された場合、①片側性/両側性、②腫瘍の広がり、③組織型(悪性度)をしっかりと評価してできるだけ妊孕性を残し性腺腫瘍の治癒も期待できる治療戦略を計画する必要があります。また、治療が終了した後も、その子の成長や男性/女性としての発達を診ていく必要があります。