小児がん検体からの融合遺伝子の検出と機能解析
京都府立医科大学小児科では、新規疫学研究「小児がん検体からの融合遺伝子の検出と機能解析」(京都府立医科大学倫理審査委員会承認、研究期間(承認日から平成30年3月31日まで)、研究責任者 細井 創)を開始致しました。
小児がんの原因の一つとして「融合遺伝子」があります。遺伝子とは、人の細胞の中に存在し、遺伝形質を決定する因子です。その本体はDNAとして知られ、塩基の配列が、特定の形質の発現や調節に関する情報を担っています。この遺伝子が何らかの原因で切断され、別の遺伝子と結合することで「融合遺伝子」が生じます。小児がんの種類によって、原因となる融合遺伝子は異なり、また同じ小児がんでも特定の融合遺伝子が存在すると、治療に対する反応性が極端に悪くなることが知られています。
疫学研究とは、人の病気の原因・病態の解明、および診断・予防・治療の方法の確立を目的とする研究です。これまでに当科で小児がんの治療を受けられた患者さんの中で、検査・手術時に採取された余剰検体の使用に同意いただいた患者さんの腫瘍組織および診療情報を用いて、新規の融合遺伝子を調べることで、診断精度の上昇や、より患者さんにあった治療強度を選択できる可能性があります。更にその機能を解析することで発癌のメカニズムや、新規治療の手がかりを得る可能性があります。
対象
今回は、以下の基準に該当する方を対象とさせていいただいています。
選択基準 | (a)小児がんの診療を受けた、発症の時点で50歳未満の患者様 (b)京都府立医科大学小児科で腫瘍検体が保管されている患者様 |
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除外基準 | 実施担当者が本試験を実施するのに不適当と認めた患者様 |
当院にすでに保管されている検体や診療情報をもとに行われるため、対象となる患者さんに新たにご負担をおかけすることはありません。また、この研究の結果は専門の学会や学術雑誌に発表されることがありますが、お名前、生年月日、住所などの個人情報にかかわるデータは一切使用いたしません。
上記の疫学研究に腫瘍組織および診療情報を使用されることに同意されない患者さんやご両親は、下記にご連絡くだされば、解析対象から除外させていただきます。同意されない場合でも、診療上で患者さんが不利益を被ることは一切ありません。当院にすでに保管されている患者さんの検体や診療情報を将来の次の患者さんのために活用させていただければと考えていますが、もし、上記研究に関しましてご不明の点がございましたら、下記にお問い合わせください。
電話番号:075-251-5571
担当者名:宮地 充、土屋 邦彦